新緑の季節。艶っぽい緑がとっても綺麗で気持ちがいい。andymoriの新譜「光」を買った。「革命」に続いて「光」だなんて、小山田くんはやるなあ、と思う。くるりがアルバムを出す度に、「よく分かってるなあ」といつも感心してしまうんだけど、andymoriもそれに似たような気持ちになる。「革命」と名づけられた前作は、とにかく曲一つ一つの濃度があまりにも高くて、アルバム全体としてはお腹いっぱいすぎる気がしたけど、今回はそれとはまたちょっと違う仕上がり。開封して聴く。聞こえてきたのは、

「輝くものは空の上 なんにも言わない君の瞳の中」

はあ、なんて優しい言葉。よく分かってるなあ、と思わず溜め息。今回のアルバムは、バンドサウンドを前面に出したものではなく、どっちかというと小山田くんのソングライティング集みたいなもの。だけど誤解しないでほしいのは、小山田くんのソロ作ではないということ。ライブ観たことある人は分かると思うけど、andymoriはどっからどう見ても「バンド」なんだよなあ。恐ろしいくらいに。彼らのライブを観ると必ず感じる、フロア(オーディエンス)との溝はこれからもどんどん深くなっていくんだろうし、その速度はきっとどんどん増していく。わたしたちはきっと追いつけない。ファーストアルバムで彼らに惚れ惚れした人たちが、このアルバムを聴いて「物足りない」「なんか違う」などと思うのは自由だけど、それってめちゃくちゃ損してるなあと思う。かつて「楽園なんてないよ」と唄った彼らが『楽園』という曲を作ったり、「Life is Party」と唄った彼らが「パーティは終わった」と唄うことが矛盾だというのと同じくらい、間違ってるなあと思う。(実際は正解も間違いもないんだけど)だってandymoriの楽曲がこんな風になるなんて予想できてたことじゃないか。とにかく、わたしはとっても好きです、このアルバム。彼らと同じ時代に生きられて幸せだなーと純粋に思う。

新しい曲を聴く度に、すべてを肯定することの強さ、繰り返すことの強さ、を小山田くんはよく分かってるなあと毎回感心する。いくら素敵な服を着たって自分に似合っていなければ意味がないことを小山田くんは知っている。小山田くんは自分に似合う服をよく知っている。それって実はすごいこと。(だってこんなに数え切れないほどのバンドが居るっていうのにそれを知っているのはほんの僅かなのだから)その点においては、『クラブナイト』が群を抜いていると思う。

「クラブナイトへおいでよ ジントニックで踊ろうよ
 それだけでいいよ 君の好きなレコードをかけるよ」

「踊りなよ」じゃなくて「(一緒に)踊ろうよ」なんだよなあ。これも今までと変わらず。相変わらずこういう曲には弱い。小山田くんは日記で「音楽は宗教じゃない」と言ったけど、毛皮のマリーズの志磨さんは「音楽は宗教だ」と言っていた。どっちも正解で、どっちも間違っていると思う。歌詞にかかれた「あなた」や「君」が自分のことだと思って聴いて、聴き手は泣く。心が震える。それって傍から見たら宗教チックだけど、全然恥ずかしいことでもなくて、むしろ素晴らしいと思う。まさに魔法。音楽に心を委ねている人たちだけが手に入れることができる魔法。ああ、幸せだなあ。「光」というタイトルもいいけど、「風」でも良かったなあ、とか思ったりしながら久しぶりに『FOLLOW ME』を聴いたら、その名曲っぷりに参ってしまった。andymoriに関しては、この曲は駄目だ、とかこのアルバムは駄目だ、とか言う気分にならない。だって自分たちのことが本当によく分かってるんだもの、否定しようがない。

「太陽が破裂するまで歌ってあげるよ」

光