備忘録

最近読んだもの、観たもの。

窪美澄『よるのふくらみ』

よるのふくらみ

よるのふくらみ

長い間息を止めて海に潜ったあと、海面に顔を出して、空気を吸う時みたいに大きく息を吸って吐く。すーーーっ、はああああああ。生きることに対する圧倒的な肯定な物語。ってわたし、これしか言ってないね、窪さんの本読んだ後。でもこれに尽きるんだもん。生きることを全力で肯定してくれる物語。「大丈夫だよ」「なんとかなるよ」みたいな口にした瞬間、呆気なく見失ってしまうようなものじゃなくて、視線が匂いが空気が、抱きしめてくれる。久しぶりに空を見上げたら星がたくさんで、ああ、わたしはこんな綺麗なものを見てなかったんだなあ、こんな近くにあったんだなあ、って。窪さんの作品は、子供がお母さんに抱きしめられた瞬間、安心して寝ちゃうのとよく似ている。あれって、お母さんの声というよりもお母さんの匂いとか体温とか、そういうカタチのないものが子供をそうさせる。男にはないやつ。男がどう足掻いたって敵わないやつ。子供もいい歳した大人の男も、みんな女のそれに吸い寄せられて、満足して安心して半開きの口からよだれを垂らす。読んでいる途中、入り込むあまり登場人物同様傷だらけでぼろぼろになって、あまりの生々しさに目を背けたくなったりするけど、読み終わったら抱きしめられてる。安心する匂いがする。人間なんてみんな死ぬまで抱きしめてほしい生き物なんだから、抱きしめてほしいときは抱きしめてほしいって言わなきゃもったいないね。

柚木麻子『その手をにぎりたい』

その手をにぎりたい

その手をにぎりたい

面白すぎて、読み終わったあとは軽い放心状態で何も手につかなかった。文章がつやっつやで、しっとりしていてぷるんぷるん。柚木麻子=爽快感みたいなイメージがあったから、柚木麻子こんなものまで書けるの、と圧倒される。でもどんどん出して、こういうの。最高。

最近読んだ漫画は、麻生みこと『海月と私』2巻、いくえみ稜『G線上のあなたと私』。

海月と私(2) (アフタヌーンKC)

海月と私(2) (アフタヌーンKC)

久しぶりにいくえみ男子にキュンキュンしてます。加瀬くん。加瀬、といえば最近また加瀬亮熱がふつふつ。加瀬亮が出るからという理由で見始めたドラマ『続・最後から二番目の恋』だけど、ドラマ自体がおもしろくて毎週録画して観るほどに。ドラマを毎週楽しみにするって高校生のとき以来かも。とにかく中井貴一が最高なのよ、未見の方は是非。ドラマといえば、先ほどちょろっと名前を出した作家、柚木麻子の『あまかるカルテット』のドラマ化を希望。この作風を失わずにドラマ化、実現しないかなー

映画といえば、もちろんこれ。『アナと雪の女王』。2D吹替で観ました。観る前、字幕と吹替の音声を比べると、アナの声の印象があまりにも違うのでどっちを観るか迷ったけど、吹替にして正解でした。吹替観てしまったら字幕観る気にならないなあ、というのが正直なところ。それくらい良かった。初っ端から勢いのあるストーリー運びだったからこそ、最後にはちょっと物足りなさを感じもしたけど、これ以外のエンディングがあったかというとすぐには浮かばないし、ネガティブなものであったエルサの魔法が最後にはポジティブなものとして、みんなに受け入れられるという終わり方は素晴らしかった。まあ、なんといってもアナ役の神田沙也加の素晴らしさ!こんなにもハマるものか、と。あと夏に憧れる雪だるま、オラフ。素晴らしい設定。泣ける。あと松たか子の『Let it Go』がまた良くて・・・これ訳詞したの誰なんだろ、「ありのままの」(動画0:58〜)というところのエルサの口の動きと、歌詞の「の」のフィット感に泣けました。なかなかないよ、こんなの。すごい。

超満員の中で観たんだけど、隣りに座っていた女の子が終始前のめりで食い入るように観ていて、ああ、子供たちが夢中になるこういう映画をどんどん作ってほしいなぁと思ったのでした。子供たちと一緒に映画観るの好きだなーわたし。将来子供が生まれたら、たくさん映画館行きたい。

ちょっと書くつもりがかなり長くなってしまったので、最近よく聴いているお気に入りの曲たちはあとでもう1つ更新して貼りつけます。